1年ぶりの韓国

  • 2012.10.30 Tuesday
  • 19:57
 

  

 10月下旬にソウルに行ってきた。私の親しい友人(絆郷会員)のお嬢さんで韓国人の男性と結婚した方に双子の男女の赤ちゃんが生まれ、その1歳の誕生日のお祝いの会に参加するためである。ちょうど1年前に絆郷で楽しい韓国旅行を行った(このブログの2011年11月2日の文章をご覧ください)が、今回は李明博大統領の竹島訪問でひともめした日韓関係の現在の韓国の雰囲気を知りたいという気持ちもあって、お祝いのあと4日ほど滞在し、以前からの親しい知人に会い話をしてきた。簡単に感想を述べてみたい。

 

伝統を守る習慣

 韓国では、お子さんの1歳の誕生日は1年を無事生き抜いてこれから成長していくことを祝うという重要な行事なのだそうだ。この誕生会には、双子のお父さんの韓国側の家族や友人が大勢集まり、日本からは双子の赤ちゃんのおじいさん・おばあさんにあたる御夫妻とその友人たち10名あまりがお祝いに駆け付けた。双子の赤ちゃんとその御両親がきれいな伝統衣装を着て、立派なお菓子の山などが積まれた祭壇の前でいろいろ儀式を行った。面白かったのは、テーブルに並べられた7つの品物を並べ、赤ちゃんにその中から何かひとつを掴ませ、その掴んだものによってその子の将来の職業や行く末を占う儀式である。硬貨を束ねた紐を掴めば将来お金持ちに、筆や硯の模型を掴めば学者になる、という具合である。双子ちゃんを囲んで大勢の家族・親戚や友人が集まった楽しい会であった。

 実は、私が韓国で勤務した20年ほど前に大変親しくしていただいた韓国の偉い方が、私が還暦を迎えるときにはお祝いの会をするから必ずソウルに来るようしきりに言ってくれた。実際、還暦を迎えた9年前になると繰り返し早くソウルに来るように誘ってくれたので、当時カンボジアにいた私は休暇を取って妻とともに韓国に行った。その時は、最近の韓国のドラマで見るような素晴らしい伝統の装束を我々夫婦に着せてくれ、居間に山のように積まれた料理やお菓子の前で韓国の伝統にのっとり厳かな儀式をして私の還暦を祝ってくれた。通常は還暦を迎える者の娘さんが長寿を祈願する口上を述べるのだそうだが、私は娘を伴っていなかったので、その方のお嬢さんが烏帽子を着た私に威儀正しくお祝いの言葉を述べてくれた。伝統を守る韓国の風習は、今でもかなり守られているようだ。

 

当面は沈静化しつつある日韓関係

 4、5日間のソウル滞在では、「竹島問題」で揺れた反日的な雰囲気は感じられなかった。もちろん、「独島は我が領土」という韓国人の気持ちは相変わらず強く変わりないものの、現時点では騒ぎ立てることは無くなっているようだ。韓国有数のベテラン・ジャーナリストや有識者、また、韓国滞在歴の長い日本人ジャーナリスト、日本大使館関係者などから聞いたところをかいつまんで要約してみる。

1.李大統領の「独島」訪問も良くないし、もっと大きな問題は天皇陛下に関する発言は思慮を欠いており、大きな失敗だ。ただ、大統領自身はイデオロギー的に反日ではなく、本来は親日的でもある。言うべきでないことを口が滑って言ってしまったこの一件は「外交的事故」ともいえるものだ。

2.日本の竹島に関する主張の内容を日本側は広報しているが、韓国国内ではほとんど報道されていない。(筆者注:これは日中関係でも同様で、相手の国家的な強大な宣伝マシーンの膨大な広報量によって日本の努力もかき消されているのが実態のようだ。)

3.中国が大きな存在となり、日本は政治も経済も低迷しているので、韓国人にとって日本の存在感は相対的に低くなってはいるが、韓国人の日本への関心や日本の経済・技術や文化の素晴らしさへの敬意と親近感は以前と同様で衰えていない。

4.残念なのは、現在、政治や政府のレベルではあまり信頼感に基づいた対話が十分なされていないようだ。最近日中韓の間で対話セミナーが開かれ、日本側参加者が、日韓間の方が理解し合える関係にあるので日韓が連携して中国に協調関係を呼びかけるべきとの意見を述べたが、韓国側はこうした議論には乗ってこない。

 日中関係同様、双方間に「外交」が機能していないのが大きな問題だ。

  

変化の速い韓国

この5年ぐらいのうちに3度ほど韓国に行っているが、行くたびに感じるのは、20年前に比べると韓国の街がきれいになり、人々は落ち着いて洗練度を増していることである。世界に飛躍する韓国経済の実績などを通じて、韓国人の自信が増大していることが背景にあるのかと思う。今回の訪問で目についたハイライトは、先ず、完成したばかりの超近代的なソウル市庁舎の建物だ。古い庁舎を残しその真後ろに聳えるガラス張りの建造物は、ソウル市民にはあまり評判は良くないようだが、私は悪くないと思った。近くの徳寿宮の庭から眺めると、古い宮殿の瓦屋根の向こうにソウル中心部の高層ビルが見え、その前にこの庁舎がモダンな様相を見せて佇んでいる。融和しているような、していないような、とても面白い風景である。このような建物を市庁舎にする韓国の斬新性が衝撃的だ。

 もうひとつ、移転した国立中央博物館の跡地が国立故宮博物館になっていたので見学した。大きなスペースに、新たにつくられたわかりやすい解説や歴史的資料をたっぷりと並べこの国の歴史を丁寧に説明している。日本語の説明用イヤホーンも借りながら見ると、とくに朝鮮王朝時代の王宮や庶民の生活などがわかりやすく実に面白い。朝鮮時代にこれほど多くの文書の記録が残されていることにも驚いた。韓国の公式歴史観なのでさらに客観的に見る必要はあるが、近現代の歴史も含め、随分と勉強になった。3時間かけたがまだ見きれないほどだった。入場無料のこの大きな博物館には生徒を連れた小中学校の先生も来ていた。日本にこれに匹敵するような見やすい包括的な歴史博物館は出来るだろうか。

なお、洗練された展示からは、日本との関係についての記述もさらっとしていて、かつて独立記念館にみられたようなどぎつい反日感情は感じられなかった。

在韓30年近くになる日本人によると、かつての国民的な強い反日感情は解体しつつあり、一部のメディアなどはこれを危惧して、時々過去の日本の行為についての問題を取り上げて国民に喚起する傾向もあるそうだ。いずれにせよ、国民間の頻繁で大規模な交流がいつにも増して重要である。

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